新年ご挨拶

2024年01月01日

皆様あけましておめでとうございます。

本年は、1964年10月に東海道新幹線が開業して60年を迎える記念すべき年です。そして、本年3月には、北陸新幹線の金沢から敦賀までの125㎞の開業も予定されております。新幹線の整備により、国内外の交流の拡大はもとより、沿線地域では、新たなまちづくりが進むなど、地域の経済や文化面での大きな効果が発揮されております。このことは、新幹線、鉄道が生む社会経済的な役割の大きさを示すものと考えています。開業には長年にわたる関係者の皆様のたゆまざるご努力があってのことであり、その多大なるご苦労とご尽力に敬意を表したいと思います。

この1964年の東海道新幹線開業によって世界の鉄道技術の最先端に立った日本に対し、数多くの国々から鉄道建設や改良に関する技術協力の要請が寄せられたことを受けて、当協会は、東海道新幹線開業の翌年の1965年9月に設立されました。来年、当協会も60周年を迎えることになりますが、そこに向けて本年度もまい進していく所存であります。

 昨年12月にアラブ首長国連邦(UAE)で開催された第28回国連気候変動枠組み条約締結国際会議(COP28)において、およそ10年間で化石燃料からの脱却を加速することなどを盛り込んだ成果文書も採択され、再生可能エネルギーの普及はさらに加速される見通しであります。

こうした中で、我が国としても、経済性や環境面に優れたやさしい交通機関として、発展途上国における都市鉄道等を中心に国際的な協力、貢献を行うことが重要であり、当協会も微力ながらその一翼を担ってまいりたいと考えています。

本年も、こうした考え方の下、我が国の質の高い鉄道インフラの輸出促進に向けて、鉄道の国際展開の推進のための各種交流事業や人材育成事業等を、WEBも活用して実施してまいります。また、海外に対する日本の鉄道情報の発信の観点から、海外の鉄道技術展への出展、KISS-RAIL2.0の現地語化、日本の鉄道技術資料の英訳化等を推進していくなどの取り組みも実施してまいります。なお、昨年12月には、過去の鉄道プロジェクトにおける日本と台湾との協力関係をさらに発展させ、第三国鉄道プロジェクトにおける日本と台湾の共同事業の可能性を追求しつつ、鉄道業界における双方の交流促進と関係強化を目的に、中華軌道車輌工業発展協会(CRIDA)と協力覚書(MOC)を締結しました。

他方、インド高速鉄道に関しては、昨年4月からインドにおいて教育訓練・認証事業の実施を開始しました。昨年は7コース20セッションを実施し、本年も1月早々から実施しております。今後の軌道工事の進捗を踏まえ、インド高速鉄道公社(NHSRCL)や現地のコントラクターと緊密に連絡を取りながら、引き続き関係者の皆様のご協力を得て着実に進めてまいりたいと考えています。

最後になりますが、2022年度に国土交通省と共催の下、関係企業、団体の皆様にご参加頂き「JARTSの将来像を考える検討会」を開催したところ、公益的な非営利団体である当協会の特性を踏まえ、我が国の鉄道システムの海外展開を持続的に進めていくために、オールジャパンで取り組むべき事業として、当協会において人材育成・マッチング事業を行うべきとされました。これらの事業は、国土交通省のインフラシステム海外展開行動計画(令和5年度版)における「我が国企業の海外展開に係る人材の確保に向けた取り組みの強化」の一翼を担うものであります。それを踏まえ、昨年7月に、関係企業、団体の民様にご参加頂き「人材育成・マッチング委員会」(政策研究大学院大学・森地茂委員長)を開催しております。委員会では、我が国の鉄道グローバル人材の育成・マッチングについて、参加者の皆様から積極的にご提案を頂いていると聞いておりますが、当協会としましても、我が国の鉄道インフラの海外展開に向けて最大限の貢献をしてまいる所存です。

今後とも、JARTSの運営、事業に対しましては、皆様方のご支援、ご指導を賜りたく、心からお願い申し上げ、年頭にあたってのご挨拶とさせていただきます。

会長 安富正文

 

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